体験型研修のメリット・デメリット

体験型研修とは?
研修を大きく2つにわけると、座学・講義型と体験・参加型の2つに分けられます。
座学・講義型研修 | 参加者が講師から情報を獲得する【個人】学習の場 |
体験・参加型研修 | 受講者同士が主体的に学び合う【集団】学習の場 |
座学・講義型研修は、知識や技術を持つ講師が一方的にレクチャーする形式です。
塾の集団授業や、免許更新の際に受講する更新者講習などがこれにあたります。
前提として、講師が答えや考えを持っており、それらを教えることで参加者が「学習」した状態になります。
この場合、学習のスタイルは講師対1人の受講者という【個人】学習になります。
一方で体験・参加型研修は、参加者同士の対話や協同作業を前提としたワークショップ形式の研修です。
講師は学習促進者(ファシリテーター)という役割で、参加者同士の体験を通して、参加者の学習をサポートします。
この場合、前提として答えは必ずしも一つとは限りません。
参加者も自らの意見を示し、様々な考え方を共有する必要があります。
参加者同士の関わりの中から自分なりの考えを探求し、学びへ変えていくのです。
表)体験型研修の種類
室内 | ビジネスゲーム MG研修 キャリアトランプ カードゲーム 課題解決ゲーム など |
野外 | キャンプ 登山 沢登り マウンテンバイク ロングハイキング 人工物を用いた課題解決ゲーム 農村体験 など |
体験型研修のメリット
その1)体験を通して学びや気づきを得やすい
私たちは普段から様々な体験をしています。
例えば、スマートフォンを落とし画面が割れたとします。
その経験を踏まえ、ポケットではなくカバンに入れたり、ストラップをつけたりと対策します。
落とさない方法を模索し、得た学びを日常生活で実践するのです。
このように、体験は私たちに様々なことを学ぶ機会を与えてくれます。
体験型研修の場合、ここまで直接的ではありませんが、体験プログラムを通して、学びや気づきを得られます。
その2)学習促進者(ファリシテーター)が学びをより深めてくれる
体験をすれば学びや気づきを得られますが参加者の学びをより深く促す存在として欠かせないのが、ファシリテーターです。
ファリシテーターは身体や心の安全が脅かされない限りは、強制的な指示を出すことはありません。
参加者をひたすらに観察し、学びが深まりそうな瞬間に働きかけ、さらなる学びの機会を生み出します。
ファリシテーターがいることで、体験が「楽しい時間」でおわるのか「学びのある研修」になるのか大きな違いがあります。
その3)参加者同士がより良い関係性を構築しやすくなる
体験型研修はチームで行うため、参加者同士が関わる時間が非常に多くなります。
プログラムはすべて参加者一人ひとりが主体的に体験し、考え、話し合わなければできない内容になっています。
そのため協同作業や話し合いを通して、参加者同士の親密度が高まります。
結果的に、研修から日常生活に戻った後も密なやり取りが発生し、チームの課題解決や目標達成に結び付きやすくなるのです。
体験型研修のデメリット
その1)ファシリテーターの力量により効果にバラツキが出る
体験すれば学びや気づきを得られるからこそ、参加者は体験しただけで学んだと思ってしまいがちです。
しかしそれでは単なる体験で終わってしまいます。
有能なファシリテーターは、参加者の様子を観察し論理的に分析。的確な体験を提供するだけでなく、適度な働きかけや、体験を深ぼりする振り返りの場を作り、体験を体験型研修へと進化させることができます。
逆にいえば、ファシリテーターの力量により、充分な効果が期待できないのがデメリットです。
その2)座学研修に比べて、知識獲得量が減る
体験型は座学・講義型に比べて伝えられる情報量が減る可能性があります。
なぜなら参加者自身が個人で考える時間や、話し合う時間に重きをおいているからです。
そのため一つのテーマ(主題)にかける時間が長くなり、結果、講師が参加者に伝える知識などが減ってしまうケースがあります。
ニーズに合わせた研修選びを
座学・講義型と体験型には大きな違いがあります。
座学・講義型はマナー研修など、知識や技術を深める場合、おすすめといえるでしょう。
一方体験型は、チームや組織が本来持っているコミュニケーション能力を活性化させたい場合に適しています。
メンバーの意識向上や生産性アップにつながるだけでなく、組織に対する定着率も高められるのが利点です。
一概に研修を実施すれば課題が解決するわけではありません。
それぞれが抱える問題に応じて、ニーズに合う研修選びが求められます。
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