参加者の声~2/14ワークショップ~

参加者の声~2/14ワークショップ~

今振り返ってみると、アドベンチャー体験というアクティビティだからこそ、意図しないところで自分の素の一面を出せたんだと思います。

アドベンチャーリンクでは、対面・オンライン問わず、様々なワークショップや研修を主催しています。昨今、特に力を入れているのが、オンラインでのワークショップです。そこで今回は、オンラインで開催したアドベンチャー教育体験会「体験から学びを得る 自己変容編」にご参加いただいたSさんにインタビュー。体験後、ご自身にどのような気づきや発見があったのか、じっくりとお話をお聞きしました。

Sさん(男性)

□今回のワークショップを何で知りましたか?

Facebookからイベント情報が流れてきたのがきっかけです。もともと、社内向けの人材開発(研修)に携わったり、教育プログラムをつくったり、大学でキャリアデザインの講師をしたりと、20年ほど人材開発の分野で仕事をしてきました。ちょうど今年の2月にフリーランスとして独立したばかりということもあり、「身体性や感情に着目する学び」という自分の興味関心に合うと感じ参加しました。

□参加した当初はどんなお気持ちでしたか?

オンラインでの研修やワークショップへの参加は以前もあるのですが、初めて会う方が多く、やっぱり緊張はしましたね。参加者は企業に勤めている人だけでなく、研修講師や学校の先生もいらっしゃいました。参加者同士の距離感や、参加する目的は何なのか、どういう立ち位置で参加しているのだろうか、などと頭の片隅で考えていました。

□ワークショップが進むにつれ、どのような心境の変化がありましたか?

まず、アドベンチャー教育についての説明があり、アイスブレイクをしました。一緒にアクティビティをするうちに、参加者がどういうタイプの人なのか、どういうことを大切にしている人か、ということが少しずつわかってきました。

少し話は逸れますが、どんな人でも日常生活において、「自分はこんな人間だ」、「他人にこんな風に見られたい」という理想の自分像を演じていると思うんです。例えば感情の起伏がなく、受容力もあって、言葉遣いも優しい人間に見られたいというような。でもいざゲームの要素が入ったアクティビティに夢中で取り組んでいると、その自分像とはかけ離れた行動をしていたり。つまりは、「作り上げたい自分」を忘れてしまうんです。

街を作るというアクティビティがありましたが、ある参加者に「Sさんて結構大胆だよね」と言われました。おそらく限られた時間内で、チームとしてクオリティの高い街を完成させたいという思いが、ひとめを気にしない行動につながったのでしょう。結局、周りのメンバーの動きを見ながら、時間の許す限り一人でクオリティを上げるための細かい調整を行っていました。今振り返ってみると、アドベンチャー体験というアクティビティだからこそ、意図しないところで自分の素の一面を出せたんだと思います。

しかも興味深いことに、いくつかのアクティビティを通じて、参加者たちの素の一面もなんとなく感じ取れたり、行動から見えるようになっていくんですよ。おそらく参加者ひとり一人が意図せずに自分の性格・行動特性を垣間見せるようになるのでしょうねワークショップが終わりに近づくにつれ、自然と自己理解、他己理解ができていく。とっても楽しい体験でした。日常、仕事を一緒にしているメンバーと、このアドベンチャー体験をしたら、普段見えていない仲間の素野部分やこだわりのある部分が新たに見えてくるのでは?と思いました。

□アドベンチャー教育を体験して、新たな発見はありましたか?

仕事柄、体験や経験が自己理解や自己内省に有効だということはわかっていました。体験学習を用いた自己理解プログラムを、講師として企業や大学で実施した経験もあります。ただ、オンライン上で行うことができる自己理解プログラムのやり方がたくさんあるんだ、という新たな発見はありましたね。

経験談から言うと、オンラインでの場づくりって、すごく難しいと感じています。パソコンという平面の画面で仲間を見るために、テキストやチャートなどのインプットはしやすいのですが、対人関係・コミュニケーションについては、肌で感じる感覚がわかりにくく、参加者の雰囲気、状況や感情、場にあらわれていることなどをとらえにくい。そんな状況下で、ファシリテーターの前田ゴマちゃんが、参加者たちが素を出しやすい場づくりを上手にしてくれていたのがとても印象的でした。思考だけでなく感情にアプローチする問いかけも、効果的だったのかなぁと思います。

一方で、ゴマちゃんはアクティビティの目的や意図を説明しないスタイルを貫いていましたね。感じたのは、アクティビティに取り組む中で、参加者自身の内面に生まれるものを大切にしているのかもしれない、と思いました。ファシリテーターの立場からすれば、目的や意図を説明しないってとても怖いことだと思います。その場が「意図しない方向」に進んでいってしまう可能性がありますから。でも今回はそのバランスを上手にとっていたなぁ、と。アクティビティの選択にしても、問いかけにしても、参加者の様子を見ながら臨機応変に対応しているように見受けられました。

印象的だったのは、ある参加者から「チーム目標をつくりませんか」という提案がでたことです。本来であれば、ファシリテーター自らそのように誘導することもできたはずです。あのような感情が参加者から自発的に出て、それを皆で共有できる場をつくれるというのはファシリテーターのあり方によるのだろうな、と勉強になりました。

□アドベンチャー教育を体験して、新たな発見はありましたか?

自分もファシリテーターとして活躍したい、そのためにファシリテーションを学ぶ場として参加したいと考えています。 長年、学校教育や企業研修の分野に携わってきて、自分自身を問われる機会って極端に少ないなと感じるようになりました。個人的な感覚ですが、新人研修ひとつとってもオンボーディングといって企業理念やマナーを学ぶ研修は多いけれど、キャリアデザインをいち早く取り入れる企業は少ないんです。でも「自分はこれが好き」「こういう状況だとこういう行動をするんだ」と自己理解・自己内省する機会は大切ですよね。それを言葉尻でとらえるのではなく、経験をもとに腹の底からそう納得できる場をつくるのが大事で、アドベンチャー教育はまさにぴったりだな、と感じました。経験や体験から生まれる感性や、感情にアプローチするリーダーシップ研修や自己探求ができる研修の場をつくりたい。そのための方法論を、これからアドベンチャーリンクの研修で学びたいと思っています