あの時。。。

あの時。。。

 私は学生時代、子どもたちと関わるボランティアをしていました。今思い返すと、今の野外での体験型研修を生業としている原点はここにあるのではないかと考えています。
 本当に濃い4年間でした。大きな声では言えませんが、大学の授業を休み、活動に参加していました。確かに良い成績では卒業できませんでしたが、それ以上に人の成長という部分で得たものは大学の授業よりもあったと確信しています。
 その中で今でも、あの時どう声をかけてよかったのか分からないことがあります。

 3月のある日、日帰りでの活動でした。とある大きな公園に行き、楽しく遊んで帰るという内容。
この時は児童相談所からの受託プログラムで、家庭に問題を抱える子どもたちと共に過ごすという内容でした。事前情報でも家に居たくないから今日ここに来る子どもがいること、親が遊びにつれていってあげることができないから来ているなど複雑な事情を抱えていました。
 そして、始まってみると、中々に個性的な子どもたち。関わり方や伝え方にすごく難しさを感じていました。今思えば、構えすぎていだけなのかなとは思います。

 その中でこんなことがありました。その出来事があった人物をAくんとします。
 その公園の中には川が流れていて、2歳くらいの子どもを連れた家族づれが遊んでいました。時折、強い風が吹き寒かったのですが、その子どもは楽しそうに川に入って遊び、その様子を両親は微笑ましいそうに眺めていました。
 その様子をじっと見ていたAくんは唐突に私にこう言いました。
「なんで、親は川に入ったことを怒らないんやろう?」
そして、そのまま彼はこう続けました。
「分かった!子どものことが好きやから怒らへんのや」
 私はその言葉を聞いた瞬間黙ってしまいました。当時20歳だった私には、彼の背景を考えてしまい、なんと彼に言葉をかけたらいいのかわかりませんでした。
そのままAくんは遊びの世界に帰っていきまました。

 その日限りの活動で、Aくんとは再び会うことはありませんでした。
 正直、今でもなんと声をかければよかったのか分かりません。
 ただ1つ思うのは、後悔するよりかは行動したほうがよかったなと。不正解でもよかったので、何か言葉をかければよかったなと。
 後悔先に立たず。彼から教えてもらった気がします。

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